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☆リカバリーキャラバンフェイスブックもあわせてみてくださいね

https://www.facebook.com/recoverycaravanTai

福祉新聞でリカバリーキャラバン隊の冊子「精神疾患を持つ方が働くための合理的配慮の会話帳でっかい輪」を取り上げていただきました。

多くの皆様のおかげでいい冊子になりました。心より感謝いたします。

精神障害者が働くために必要な合理的配慮とは

http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/10061

キャラバン隊がNHKハートネットTVブログの取材を受けています

仕事とともに、このキャラバン隊の活動が大きな生きがいとなっていると紹介されています。

http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/3400/223531.html

2011年3月31日木曜日

【私のリカバリー】リカバリーの道(タバコ一本の縁)

リカバリーの道(タバコ一本の縁)

リカバリーの道は本当に大変だ。お金がなくてしゅんとしている時「たばこ一本!」と友人にねだる時の心苦しさ。さあ働こうと一念発起して職安に行く。
介護、清掃、警備。65歳の私にとっては厳しい仕事ばかりである。
しょんぼりして家に帰ると母が「洗濯物干して」「布団干して」「皿を洗って」と次から次へと用事をいいつける。ひととおりお手伝いが終わってベッドにあお向けになって横になると不安が次から次へとおそってくる。サイフには1,000円しかない。弟も母も疲れきって寝込んでいる。ゴルフも囲碁も今日はやる気がない。
「え~い、ままよ」友人も相手にしてくれないなら駅まで出て喫茶店で一服吸おう。そう決めて4丁目から無味乾燥なバスに乗っていつもの景色をみて駅へ出る。サラリーマン、主婦、子供連れ、暇そうなおじさん。いろいろ人がいる。
働きたいなあ、いつのまにか年をとってしまった。私もひまをもてあましているおじさんだ。
コンコースを歩いていると突然うしろから声をかけられる。いつものデイケアの知り合いだ。「やあ、おはよう、たばこ一本頼む」「おやすい御用、はい」と一本渡す。
彼はにこにこして通り過ぎて行った。

サム ウォーカー ジュニア

2011年3月30日水曜日

【私のリカバリー】私のリカバリーのモットー

私のリカバリーのモットー

私は調子の良い時も悪い時もモットーを持っている。
1. これまで通り
2. 人間はひとり
3. 今日が終わればよい

この言葉に安心を憶えてもう何十年にもなる
たとえば困難にぶつかった時、何かやらなければとか、こうしなければならないと焦る。
だが、ちょっと待て、今まで何十年も生きてきてやり通してきた。これまで通りやっていれば良いと考える。自分は自分だ。いままで人との人間関係は良いコミュニケーションを図ってきた。何とかなると考えている。
病気のリカバリーには何でもありだ、考え次第だ。
今までこれはこうだと頑張ってきたがちょっと考えれば自分の信念がすべてではない
世界には何十億という人がいる。様々な価値観が交ざり合って社会が成り立っている。病気も急性の時など過去のほんの一場面であり、私は病気をものとも思わない。会社にいけば言うべきことをはっきりと言う。
こうして頑張ってきた私だがリカバリーは山あり谷ありだ。
感性の異様な状態の時でもちゃんと買い物ができ道に迷わず家に帰れる。
ここが精神疾患の不思議なところである。通りでなじみの顔に人がにこにこして挨拶してきた。私はこんな時ほっとする。
これでいいんだ。私は静かに自分に言い聞かせた。

サム ウォーカー ジュニア

2011年3月29日火曜日

【私のリカバリー】リカバリーの旅

リカバリーの旅

リカバリーの旅はゴルフコースを回るようなものだ。
朝早くコースに出てスタートする。第一打をはなつ。
ナイスショットであれば気持ちがよい。時々ラフに入る。
そこからのリカバリーには勇気がいるが思い切って打つ。
こうして楽あり苦ありで18ホール周った時は気持ちが良い。
病気もそうである。朝起きた時スカッとしている時、憂鬱な時もある。
たとえば散歩に行くとか体を動かすとか一歩踏み出すことをこうと決めてやることが大切だ。
今、私は仕事して英語と清掃をやっている。趣味も持っている。
稼ぎは家族を支える事、ゴルフでも時々池に入れたりハザードにつかまったりする。
これはたとえていえば調子悪くなっても入院することだ。
でも勇気と決断は忘れてはいけない。
たとえ林に入って判断を間違えずにフェアウェーに出すとかすればよい。
病気もそうだ。今日はつらいと思ったら多少お金を使っても喫茶店でリラックスするウインドウショッピングするなどの工夫をすると良い。
リカバリーの道は楽しい。

サム ウォーカー ジュニア

2011年3月28日月曜日

【QAシリーズ】働きたい人だけが支援対象か

【QAシリーズ】働きたい人だけが支援対象か

Q:精神障害者の支援者を養成する専門学校の教師をしています。IPSの原則には「働きたい人はすべて対象」とあるが、働きたいと言わない人は支援の対象と考えるものでしょうか?

A:ワーキングライフ第12章にもあるように、本人が就労は「私には関係のないこと」と考えていても、IPSを紹介します。これは無理強いでなく、可能性を提示する作業となります。働けないと言われ続けてきた、働けるイメージが持てない、働くメリットが分からないなどから働かないことを選択しているのでなく、働くという選択肢をはじめから持っていない場合が多くみられるからです。

主治医などの依頼で、入院中の患者も支援します。「何もしたくない」「冷暖房完備で看護婦さんも優しく最高」と言う方の興味、希望を引き出し、入院中からパソコン教室に通うなどの支援を開始していきます。精神疾患があっても社会で活躍し自分らしい人生を送れるという可能性を紹介するには、似た状況にあった方たちの姿か何よりも役立ちます。当事者による講演会を開いたり、個別に会って話をしてみる機会を設定しながら、可能性の提示を行っています。

病気を持っている方が頑張っている話を聞いて、自分でも仕事ができるのではと思い、チャレンジすることにしました。医師には「働くにはまだ早い」と言われデイケアを勧められましたが、お試し参加でやめることにしました。今は病気をオープンにして、1日5時間、週5日の軽作業をしています。仕事は一番充実した時間で、自分が元気になる要素があります。(統合失調症、20代、男性)

こうして希望の輪が広がります。IPS7原則にありませんが、これも支援の一部と考えています。

2011年3月27日日曜日

IPSは、過去に戻れるのであれば、私が受けたかった支援です

IPS研修を受講した方より感想をいただきました。
とても内容が濃いため、本人の了解をいただいた上で紹介いたします。

IPSは、過去に戻れるのであれば、私が受けたかった支援です

私は、不適切な診断と多剤多量処方などによって統合失調症になったと思っております。一言では表現できません。渥美さん、岡本さんのリカバリーの体験を聞き、その前向きさに感動しました。入院していた時や支援されていた時期に、医師やスタッフに疑問ばかり感じていました。就労したい気持ちがあったのに、スタッフの言うことといえば、「病識がない」「準備性がない」「理想が高い」「主治医に聞け」「主治医の許可が出てない」「現実的になりなさい」の連続でした。私にとってスタッフは「壁」であり、「支援者」だとは思えないのです。 IPSは、過去に戻れるのであれば、私が受けたかった支援です。私の夢は「当事者スタッフ」になることです。今回の研修に参加し、リカバリー経験者の話を聞けたことは、私にとっては財産です。私もいつかは、リカバリーキャラバン隊の皆さんのような活動がしたいなあと改めて思いました。長く勤める自信はありませんが、もしできたらいつかIPSを実践してみたいと思います。リカバリーを信じています。

2011年3月26日土曜日

【QAシリーズ】障害者雇用枠が少ない?

【QAシリーズ】障害者雇用枠が少ない?
Q:精神障害者の支援をしています。私の地域では障害者雇用の枠がまだまだ少ないようです。どのようにしたらはどうしたらよいでしょうか?
 
A:障害者雇用の枠が少ないことは、ラッキーかもしれません。精神障害者のリカバリーにとって、疾患のない方と一緒に働くことが意味があります。障害の有無を問わず、みなが自分の可能性を発揮して働く場を作ることが目標であるとするとゴールに近いというわけです。
 一定以上の従業員を抱える企業は、定められた割合で障害者を雇用しなければならないこととなっています。これができない場合、障害者雇用している企業へ給付される費用を逆に負担する仕組みがあります。障害者求人が少なくても、実は雇用すべきなのにできていない企業が多いかもしれません。このような企業に雇用するよう指導するのがハローワークの雇用指導官です。
 指導される企業も障害者雇用の仕方が分からない、自信がないのが一般的です。ですから私たちは、指導官などと企業向けに障害者雇用の仕方を紹介するプログラムも行っています。雇用事例や仕事内容、活用できる資源や助成金、雇用する企業や働く本人による必要な配慮の説明などをきっかけに、企業のニーズ、悩み、心配事そして長所や可能性を聞きだし、接点を持ち続けています。障害者雇用をすることで納付金を払わなくて済むだけでなく、多様な社員が働くことで組織としてメリットがあったと報告する企業も多くあります。

2011年3月25日金曜日

【QAシリーズ】小さなクリニックでIPS

【QAシリーズ】小さなクリニックでIPS

Q:小さなクリニックなのでIPSは無理なのですが、その発想を組織内に取り入れていくには、どうしたらよいですか?

A:個別支援も同じですが、内発的な動機づけが変化を生みます。変化が必要だと考え、それができると感じられ、今はその時期だと判断するときに人は変化できるというわけです。この要素を組織内で満たせるよう整えれば、自ずとIPSあるいはリカバリー志向の支援へシフトしていくことでしょう。

今の支援がうまくいっていなければ、IPSを紹介するチャンスです。何かしらの変化が今必要だと感じていると想像できます。いきなりIPSというスタイルではなく、リカバリーシートに基づいた個別支援など取り入れられる小さなステップを重ねることで、大きな変化の可能性を生み出せるでしょう。

そのために組織内でまず1事例取組み、そこから組織内で学び取るのが良いと思います。無理と感じながらも本人と一緒にハローワークに同行し、試行錯誤の支援をしてみる。理屈ではなく、患者のリカバリーを目の当たりにすることで、人として揺さぶられるような経験は財産となります。時期に応じて組織内に、リカバリーやIPSに関して情報提供するとよいでしょう。そのためにクリニック内で学習会を企画する、自分達の取組みや考え方を学会で報告することも役立ちます。

「小さなクリニック」の長所も意識してみましょう。巨大組織の精神科病院よりフットワークが軽くできるかもしれません。地域からの敷居は低く、立地も街中にあるでしょうし、「安易な入院」に傾くこともないでしょう。ぜひ、長所を活用してください。

2011年3月24日木曜日

【QAシリーズ】ストレングスモデルに基づいた地域連携

【QAシリーズ】ストレングスモデルに基づいた地域連携
Q:ピアサポーターです。「ときには一般就労をストレスだと危険視する支援者とも、うまくやっていかなくてはならない」とのことですが、実際にはご苦労があると思います。お聞かせください。
 
A:私たちは失敗を重ねながら進んできました。本人の選択やリカバリーを理解しない支援者と安易に非難してしまったこともあります。しかし、それはストレングスモデルの実践とはほど遠く、本人が利用できるサービスの幅を狭めかねません。これではいけません。
 リカバリー等の理念や価値観が共有できるよう努めます。数ある仕事の中から支援者という仕事を選んだ方たち、共有できるものがあるはずです。ときには勉強会等を企画することもあります。理念を共有する際に大切なのは、専門用語に頼らないことです。特に欧米から輸入されたような「最新用語」の使い方はわきまえるべきです。理解できていないと分かりやすい日本語で語れません。比喩や文学的表現が役に立つことも多いです。
同時に支援の質に関して、統計的な科学的根拠(エビデンス)を武器にしないこと。これは自分の足元を見直すためにあるもので、支援の質をアピールし、他を批判するために使うものではありません。
患者だけでなく、関わっていただける方たちや組織のストレングスに注目するようにしています。就労支援はまだ早いと実習の調整に協力してもらえなければ、「本人の再発と自信の喪失を心配している優しい支援者」「企業と築いてきた信頼関係が崩れ、精神障害者の実習機会が失われることを必死に避けようとする熱心な方」かもしれません。未熟な私たちはそうとらえるべき、そうありたいと考えています。

2011年3月23日水曜日

【QAシリーズ】Win-Win関係を構築する

【QAシリーズ】Win-Win関係を構築する
Q:精神障害者の支援をしています。支援者は企業やハローワーク、あるいは他の支援機関の担当者とWin-Win関係を構築するような交渉をすべきとのことですが、どのようにしたらよいでしょうか?

A:ストレングスに基づくIPSは、無理を強いたり威圧したりするような交渉やコミュニケーションではなくポジティブな感情に基づく対話を使用します。このとき相手の側にとってもメリットがあるWin-Win関係が構築されるはずだと考えています。交渉の前提として、お互いに何を選択するかは自由であることを大切にします。相手の自立性を尊重することで、自分の自立性も大切にします。
 利害が対立した場合は、共有できる価値観を対話により見出すことを意識します。相手の話をよく聞き、細かい利害では対立したとしても、例えば障害がある方でも働けるような会社にしたいなどより大きな目標では合致できるはずです。対立した関係ではなく、同じ目標に向かって協働している関係であることを確認します。
 この関係を作るために、ときにはテーマと直接関係ない「つながり」を活用するのもよいでしょう。母校や出身が同じであるとか、食べ物の好みが一緒であることが功を奏することもあります。ちょっとした物の貸し借りでも関係作りはできます。同じ研修に参加し、見学する場を持つことも役に立ちます。相手の持つ役割やステータスも尊重するとよいかもしれません。「2児の父親」「自治会で和太鼓を教える師匠」などの側面にも配慮、活用するというわけです。
 患者だけでなく、関わる全ての方と前向きにお互いが自分にメリットになると選択できる関係を作る方法をIPSでは採用します。すべてはリカバリーの可能性を大切にするためです。

2011年3月22日火曜日

5/29 中村孝のリカバリーの部屋

中村孝のリカバリーの部屋
~中村孝が語る就労までの体験談~

中村孝は大学卒業後、コンピュータのSEとして働きました。そして32歳の時、統合失調症を発病。3回の入退院を繰り返し、ディケア、作業所を経て平成16年2月より一般就労。彼は訴えます。「精神障害者でも立派に働けることを社会に示したい。」、「医師、支援者に働くことの大切さを伝えたい。」と。ここまで元気になった体験を語ります。

日時 平成23年5月29日(日) 13時00分から15時00分(12時30分~受付)
場所 東京都調布市市民プラザアクロス2階
http://www.chofu-across.jp/goannai_tizu_frame.html
(最寄駅:京王線国領駅)
対象者 興味のある方
参加費 無料
申し込み recovery_caravan@yahoo.co.jp

被災したIPS/リカバリー仲間から②

被災したIPS/リカバリー仲間から②

仙台のリカバリー支援仲間から無事を知らせる連絡が入りました。


スタッフ他私のまわりの福祉関連メンバーは全員無事でした。ただ、ご実家が安否不明の方もいらっしゃいます。いまは家族、仲間で助け合って頑張っています!!生きていればまた、頑張って復興していけることを考えると命があってよかったとみんなで話していました。今回のことで、家族や友人の絆がいかに支えになるか強く生きる希望をもたらすかを実感しております。

2011年3月21日月曜日

【震災からのリカバリーのために⑥】中井久夫さんのコメント

【震災からのリカバリーのために⑥】
エンパワメント、リカバリーの先駆者と考えてもよい精神科医でありながら、文学者である中井久夫さんのコメントより抜粋して紹介します。

 日本で一時にこれだけの災害はなかった。空襲も、これだけ広範囲ではなかった。今までの資料に書かれていないことも起きていると思う。阪神大震災の時は、神戸の中から色んな提案がでてきた。僕らは教訓より、現地の中の声に耳を傾けるべきだと思う。
 だから分かったようなことは、何も言えない。被災した人たちが切り開こうとする道を尊重していくしかない。
 周囲の人は、いま出来ることをやるより他にないと思う。「気の毒、かわいそう」という言葉は逆に反発を買うこともある。被災者の事は被災者でないと分からない、とも言うから。
 失ったものへの思いは人それぞれだし、共感するのが簡単ではないくらい、災害は一人ひとり違う。地域によっても集落が全滅した所とそうでない所では、対応も違ってくる。心の傷は、回復する力を持っている。だからこそ被災者に敬意を持って、自尊心を尊重するのが大切だと思う。
 過去に津波があり、集落が丸ごと壊滅した例もある。それでも人間が住んできた。まだ先は見えないが、集団として、社会として、立ち直ることは間違いない。

2011年3月20日日曜日

【震災からのリカバリーのために⑤】不謹慎といわずに前向きに

【震災からのリカバリーのために⑤】
不謹慎といわずに前向きに
被災こそしなかったけれど計画停電の影響を受けるなどにより、援助者であっても混乱している方が多く見受けられます。疾患の有無に関わらず、私たちからのアイデアを掲載します。
例えば被災地でも、笑顔で遊ぶ子ども達や、役割分担して炊き出しなどで活躍する高齢者の方なども報道されています。停電等で混乱があるにもかかわらず、今までどおりうまくいっていることもたくさんあるはずです。前向きな報道や情報も積極的に取り入れて行きましょう。
こんな状態で多くの人がイライラしているのは当然かもしれませんが、批難、批判するのは避けましょう。記者会見している電力会社社員や政府関係者に対して記者が詰め寄る、キャスターが対応を批判する、在庫がないことで店員を叱責するなど大人気ない場面も多く見られます。本当に深刻な状況なので、感情を上手にコントロールしポジティブな感情を活用して危機を乗り切りましょう。
あなたの冷静さ、前向きな行動が人に役に立ちます。困っている人を助けてみようと考えたら何ができそうでしょうか。少し話し合うとよいでしょう。
震災やそれに伴う事故への細かい対応方法では意見が異なるかもしれませんが、いずれも地震の被害者であり、県民、国民の安全を願って必死に対応をしている方たちであることを忘れないようにしましょう。人間が過去に経験した大きな困難は、批判合戦ではなく、助け合いにより乗り越えてきた歴史の事実を思い出しましょう。

2011年3月19日土曜日

【震災からのリカバリーのために④】情報は選びましょう

【震災からのリカバリーのために④】
情報は選びましょう
被災こそしなかったけれど計画停電の影響を受けるなどにより、援助者であっても混乱している方が多く見受けられます。疾患の有無に関わらず、私たちからのアイデアを掲載します。
自分の意志で選択しづらい、あるいは再現力の強いテレビがつけっ放しになっていませんか?テレビを消して、インターネットやラジオで情報収集するように切り替えましょう。
必要な情報と、参考にする程度でよい情報とを分けましょう。例えば、停電、電車の運行状況、揺れた場合の地震の最新速報などは必要な情報でしょう。
アニメやビデオなどを見るのも、平静さを取り戻す上では悪いことではありません。堂々とやってよいことです。
震災にあった現地の惨状に関する情報は、厳選して確認しましょう。過度な感情移入などにより自分が過酷な体験をしたのと同じ状況になることが報告されています。自分の現状に見合っていない不安や興奮は、プラスにはなりません。
バランスよく情報を取り入れましょう。同じ情報でも、報道の仕方でまったく見え方が異なってくることがあります。1つの情報をどのように解釈するかは自分次第ですが、解釈の仕方によっては過度な不安や興奮を引き起こして、かえって自分の身に危険を引き起こすことにつながりかねません。結論を急いで、勝手な解釈をするとパニックになります。

2011年3月18日金曜日

【震災からのリカバリーのために③】不安、興奮状態を落ち着けましょう

【震災からのリカバリーのために③】
不安、興奮状態を落ち着けましょう
被災こそしなかったけれど計画停電の影響を受けるなどにより、援助者であっても混乱している方が多く見受けられます。疾患の有無に関わらず、私たちからのアイデアを掲載します。
たくさんの情報、地震や津波に苦しむ映像、買占めする実際の様子などを見ると、不安あるいは興奮状態になるのが普通です。こういう緊急事態では、自分の命を守るため「何か行動を起さなければ」という気持ちになりやすいアドレナリンという脳内物質が出ます。
本当に地震で揺れているときはこのアドレナリンの効果は大切ですが、テレビなどを見続けて過度な不安から興奮状態に陥ってしまうと、冷静で現在自分が置かれている状況に見合った適切な判断が出来なくなってしまい、余計に身の危険が生じてしまいます。
確かに「いつもの平和なとき」とは違うでしょう。自分の身の回りで実際に起きていることなのか、テレビなどで報道される被災地の状況なのか、冷静に見渡してみてください。疲れてしまい、体調を崩しかねません。
可能な限り「いつもどおり」の生活を心がけましょう。食事の時間や「いただきます」というあいさつ、食後はコーヒーを飲むという習慣、風呂での過ごし方など些細なことでもよいです。いつもの自分を保つことにより、冷静な判断力を備えましょう。

被災したIPS/リカバリー仲間から①

被災したIPS/リカバリー仲間から①

IPS研修を実施した千葉県旭市の東総障害者就業・生活支援センターなどから「水を入れるための空のペットボトル」を送ってほしいとのメッセージがありました。


ロザリオの聖母会から緊急支援依頼!!
http://www.rosario.jp/sawayaka-n/letter/kaisounofukusi_r1.pdf




2011年3月17日木曜日

【震災からのリカバリーのために②】パニックが一番怖い。落ち着きましょう。

【震災からのリカバリーのために②】
パニックが一番怖い。落ち着きましょう。
被災こそしなかったけれど計画停電の影響を受けるなどにより、援助者でありながら混乱している方が多く見受けられます。疾患の有無に関わらず、私たちからのアイデアを掲載します。
地震、津波、建物の倒壊、原発事故、停電、電車の運休など震災被害が多く報告されています。この報告を元に思い込みや噂、憶測や不確かな伝言が発生して、集団的なパニック状態が発生することが過去の歴史ではよく起こりました。
現在もカップラーメンやガソリン、トイレットペーパーなどの買占めが起きております。そうなったとしても仕方ないほどの状況ですが、このような行動を取っている方はパニック状態にあると言えます。
このパニック状態は、他のパニック状態を引き起こしかねません。冷静に対処しましょう。物は実際には不足していないのに、不足しているように感じられると買いだめしてしまい、本当に不足してしまい被害が拡大してしまいます。天災は防げませんが、人災は防げます。
例えば店頭からカップラーメンは少なくなりました。これは、在庫は震災地に優先的に送ったためです。品薄になったためパニックになった人による買占めが起こり、店頭からなくなってしまいました。一週間ほど待てば通常通りの販売ができる見込みもあります。落ち着いて、行動しましょう。

2011年3月16日水曜日

論文雑誌発行予定のお知らせ

論文雑誌発行予定のお知らせ

まもなくデイケア学会学術誌「デイケア実践研究第14巻2号」が発売になります。この雑誌にて、IPSのコミュニティ・ソーシャルワーク部分の実践報告を行います。これは「ストレングスモデル」の第7章資源の獲得:地域を地域精神保健に戻す、の私たちなりの実践報告のつもりです。個別支援のみならず、地域ネットワーク作りはストレングスモデルの大切なテーマである一方、恥ずかしながら私たちはようやく報告するに至りました。
興味のある方は、ご一読ください。
※コミュニティソーシャルワーク:1982年の「バークレイ報告」で提案された、地域を重視したソーシャルワーク。対面的な個別支援、地域で生活するために必要な社会資源への到達に関する支援に加えて、必要な社会資源の開拓、開発、ネットワーク構築をソーシャルワークとして行なうこととなる。

【タイトル】ストレングスモデルによる精神科病院の他機関連携~IPSのコミュニティソーシャルワーク~
【執筆】中原さとみ、飯野雄治
精神科病院の孤立は、患者の孤立を意味する。
患者の地域統合をスローガンにかかげながらも、精神科医療従事者が地域との連携に苦労している現状はないだろうか。桜ヶ丘記念病院ではIPSモデルに基づく個別支援を行ってきたが、2007年ごろからその方法を大きく転換した。その結果、機関を超えた地域チームでIPSを実践するに至った。ここではその経緯と方法を質的に分析し、コミュニティソーシャルワークとしてのIPSの可能性を発掘したい。

発売後は、下記のアドレスから購入できる予定です。
http://www.meteo-intergate.com/journal/journal-archive_dc8dayca.html

2011年3月15日火曜日

【QAシリーズ】社会とのパイプ役

【QAシリーズ】社会とのパイプ役

Q:精神障害者の支援をしています。支援者は社会とのパイプ役になるとか、地域開拓する必要があるとのことですが、ピンときません。教えてください。



A:地域生活での生活が実現するよう、患者が利用できる社会資源を開拓したり、創りだしたりすることもIPS支援者の仕事です。これをコミュニティソーシャルワークと言います。

 例えばリハビリとして紙を折る患者を、日本の伝統工芸である折り紙作者として生活できるような場を創ること。患者が折った折り紙作品は押し入れに眠るだけでしたが、この作品を評価してくれる場を探すことにより外資系の企業が立派な工芸品として展示するに至りました。このことで「患者」から「折り紙作者」としての肩書が得られます。同様にガラス拭きの練習をする知的障害者を、バスの清掃で地域貢献する青年にすることなどが、私たちの地域で行われています。ネットワークを作り、障害のある方が地域で過ごすための情報や環境を手に入れやすいように耕しておくことが地域開拓です。

支援者が社会と交渉して社会での役割を作ることにより、同じような作業をしていても地域統合は実現できます。特別なリハビリや就職なくしても地域統合は可能かもしれません。

支援者には専門知識より社会経験が必要となるでしょう。一人の市民としての社会経験が役に立ちます。精神科医療や福祉の世界しか知らない支援者は、まず自分が地域で生活する経験を大切にすることから始めるとよいでしょう。

2011年3月14日月曜日

【QAシリーズ】向いている仕事を探す

【QAシリーズ】向いている仕事を探す
Q:働きたいと考えている精神障害の当事者です。自分にどういう仕事が向いているのか知ってから就職活動をしたいのですが、どうしたらよいでしょうか?

A:興味や特技などを活かした仕事がよいと思いますが、なかなか見つからないものですね。自分の長所って、なかなか気付きづらいものですし、ましてや仕事と結びつけるのは難しく感じるのは当然です。
親や兄弟、友人にどんな仕事が向いているか尋ねてみるのもよいでしょう。その一方で、新聞の折り込みやハローワークの求人票、市販されている仕事図鑑などで色々な仕事を知り、自分に向いているかどうかを調べるとよいかもしれません。
作業所での実習、ボランティア活動への参加、社会適応訓練事業などの利用による企業内での実習を通して、向き不向きを考えることもできます。障害者職業センターで性格傾向などから適職診断を受けることもできます。「ノルマがない」「人間関係が少ない」等の影響か、農業が向いているという結果をもらう方が多くいます。
忘れてならないのは、どういう仕事が向いているかどうかは実際に働いてみないと分からないということです。むしろ、どういう仕事が向いているかを知るために働いてみることが必要となります。私も学生時代に数多くのアルバイトを経験しました。少しでも向いているかな?と感じる仕事があれば、やってみることが大切です。

2011年3月13日日曜日

【震災からのリカバリーのために①】体育館等へ避難を余儀なくされている精神障害者に必要な合理的配慮について

体育館等へ避難を余儀なくされている精神障害者に必要な合理的配慮について

被災した精神疾患がある方の支援者へ

リカバリーキャラバン隊と交流があるいくつもの地域で大変な被害が拡大しており、心を痛めております。食料や水を送ったり、多額の寄付をすることは残念ながら私たちにはできません。身の安全が確保されたのちも、精神疾患がある方にはこれから先に様々な困難を感じるかもしれません。私たちから出せるアイデアを微力ながら記載させていただきます。支援する方々自身の体調管理にも配慮ください。皆様の安全、リカバリーを心よりお祈りしております。

体育館等へ避難を余儀なくされている精神障害者に必要な合理的配慮について
脳内の神経伝達物質や細胞の異常により、精神障害者は次のような配慮が必要かもしれません。いずれも「わがまま」ではなく、病気によるものです。ご理解ください。
þ 他人の視線が気になり、健常者とは比較にならないほど苦痛を感じている患者がいるかもしれません。その場合、段ボールや布などでよいので視線をさえぎる個別スペース作りを検討ください。
þ 落ち着かない音、他人の話声が、健常者と比較にならないほど苦痛に感じている患者がいるかもしれません。他人の声がすべて自分への悪口に聞こえ、おびえているかもしれません。その場合、耳栓などを用意・活用してみてください。
þ 先の見通しが立たず、パニックになっている方がいるかもしれません。残念ながら長期的な見通しは立たないかもしれませんが、「3時に水のペットボトル1本、6時30分におにぎり2個」などの情報を紙に書いて渡すなどの配慮をご検討ください。また時計はいつでも確認できるよう、設置してある場所などを教えてあげてください。
þ ゆっくり休むことより、具体的にやる作業、あるいは役割があった方が落ち着く方もいます。休んでいると心配なことばかりが頭をよぎったり、かえっていらいらしたりすることも考えられます。また皆が忙しくしている中で、のんびりしていることにかえってストレスを感じることも考えられます。避難所生活の中で、適度な作業や役割を提供することをご検討ください。
þ 薬の副作用で水を健常者より多く求める患者がいるかもしれません。これはわがままではなく、薬の副作用であることをご理解ください。
þ 慣れない避難所生活で、判断に時間がかかり、取り乱しているように見える患者がいるかもしれません。例えば「薬の飲み方が分からない!」と取り乱していても、薬を手のひらに乗せ、水を渡せば、いつものように薬を飲みかもしれません。体で覚えた「手続き記憶」は混乱の中でも失われることは少ないので、支援に活用するとよいかもしれません。
þ ペットを散歩させるなど、避難生活の中では「無駄だ」と感じられるような作業が、本人のいつも行っている作業であるため、患者の安心につながるかもしれません。他人に迷惑をかけない範囲であれば、その「不可解な行動」をご了承ください。

2011年3月12日土曜日

3/13のIPS支援者養成研修をお申し込みの皆様へ

3/13のIPS支援者養成研修をお申し込みの皆様へ

ご承知の通り、3/11に発生した大震災に続き、ここ東京都多摩地域においても余震が続き、交通機関の運行状況など明日の見通しが立ちづらくなっています。
引き続き情報収集が必要となり、安心した研修実施が困難と予想されるため、残念ながら3/13の研修は急きょ中止させていただくことにしました。
遠方よりお越しの方が多数いらっしゃるため、前日の午前中に決定しましたことをご理解ください。

なお、同様の研修は3/27に都内で実施する予定でいます。
ご都合よろしければご参加ください。
また、4月以降にも研修の実施を検討しております。
今後ともよろしくお願いいたします。

リカバリーキャラバン隊事務局長 
中原さとみ

【QAシリーズ】サービスの利用に反対する親

【QAシリーズ】サービスの利用に反対する親
Q:精神障害者の就労支援をしています。本人の意向とは異なり、親が障害年金や精神保健福祉手帳の取得や利用を拒むことがあります。このようなときどうしていますか?

A:熱心で優しい親御さん、まずそう考えましょう。感情表出が高いからストレス源になるなどと早急に考えることは避けましょう。
 なぜ反対するのかを丁寧に聞き取っていき、より上位の共有できる価値観を見つけましょう。例えば、一度年金をもらって味をしめてしまうと本人がそこから抜け出せなくなってしまう。いつかは病気を治して、普通の人として生活できるようになってほしい。と願っていると分かれば、ここは本人も支援者も親も共有できる価値観だろうと思われますので、これを確認しあいましょう。そしてこの目標に向けて3者で年金等を利用することについてのメリット、デメリットを話し合い、紙に書くとよいでしょう。うまくいっていることは続ければよいし、うまくいっていないことについては何らか別の方法を試してみる。そしてうまくいけば採用する。その単純な原則が役に立ちます。
 本人の意見に耳を傾けることの大切さを伝えるために、エンパワメントの歴史やパラドックスの話を紹介することが役立つと感じています。また親御さんにとっての長期目標と本人のリカバリーの関係(優先順位)を確認するため親御さんと面談の時間を持つのもよいでしょう。「あの子が安心して挑戦できる土台を作るのが親の役目」と言うようになった方もいます。年金等を利用することについて、皆で対話して決めることに価値があります。

2011年3月11日金曜日

【QAシリーズ】本人の判断に無駄を感じる

【QAシリーズ】本人の判断に無駄を感じる
Q:精神障害者の支援をしています。利用者の判断に波があり、支援者から見れば近道が見えていても本人が聞く耳を持ってくれない場合はどうしていますか?

A: 本人の判断や考えが揺れることについて欠点とか問題だと考えず、当然であることを思い出しましょう。誰でも人生の一大事を選択する際には迷うものです。その一方で精神疾患の症状から考えがまとまらない可能性があることも考慮しましょう。脳の伝達物質や脳細胞がうまく働かないためなのです。
ですから判断することをサポートすることは大切です。選択に関するメリットとデメリットを書き出すと同時に、本人にとって重要だと感じる価値観を確認します。進むべき道が見えてきたら、それへ向けての小さなステップや過去の成功、役に立ちそうな資源や可能性を確認します。判断に「波」があるのであれば、紙に書くなどにより考えたプロセスを残すシートが役に立つかもしれません。
その判断が支援者から見て遠回りに見えるかもしれません。それは支援者と本人とで見ている目標や景色が異なっているのでしょう。挑戦してみて「やっぱり」だめだった、という経験が本人には今は必要なのかもしれません。あるいは自分の可能性に気づいていて、「意外にも」成功するかもしれません。いずれにしろ本人が成長する経験とチャンスを支援者が奪うようであっては本末転倒、そう考えるべきでしょう。

2011年3月10日木曜日

【ジョブマッチング講座15】長所のバリエーション

【ジョブマッチング講座15】長所のバリエーション
一言で長所と言っても、様々なバリエーションがあります。私たちは、大まかに次の順に確認していくのが、定石です。
1.希望、興味について
働きたいと言っているので、まずどのような仕事に就きたいのか希望やイメージを確認します。どんな資格や職歴があろうとも、これは最優先されるべきです。これを真っ先に確認することは、信頼関係を築く上でも大切になります。本人の気持ちが一番大切であるというIPSの原則、そのものです。
2.仕事に関連する技能
希望する職種が出ようが出まいが、より就職を成功させるために、職歴や資格、特技などを確認します。
3.性格や雰囲気など
ここまで会話し、いくつかのエピソードなども聞いたところで、その方の性格や雰囲気も分かってきます。この方にふさわしい「形容詞」を考えてみます。
4.発想の転換
1→2→3→1・・・の繰り返しで就職活動を進めていきますが、それでもうまく行かないとき、弱点を強みに変える発想の転換も行ないます。

2011年3月9日水曜日

【QAシリーズ】作業能力の把握

【QAシリーズ】作業能力の把握
Q:精神障害者の支援をしています。就労支援するために本人の作業能力をアセスメントして企業などへ伝えないといけないと思いますが、小さなデイケアではできません。どうしたらよいでしょうか?
 
A:作業能力に限らず、自機関でできないことは他機関を利用、連携してみることを積極的に試すべきです。本人とともに就労支援センターなどを尋ねてみましょう。
 手の器用さなど作業能力を測定するツールも販売されています。また日常生活の様子を把握することにより、認知機能上の課題を見立てるチェックリストもあるので、活用してみるとよいでしょう。いずれも測定が目的にならないように上手に活用してください。
測定結果でなくても、作業能力を確認することはできます。自宅で洗濯を担当していると聞けば、その場で着ていたセーターを脱いで畳んでもらうなどにより、様子を確認することができます。構造化された特別な環境での能力でなく、日常生活の様子を把握することこそ専門性が高いと考えるべきでしょう。
 そして、就労支援するからといってそもそもアセスメントが必要かどうかについて常に問いなおす必要があります。混在したネジを10分間で何個分類できるのかどうか、企業も知りたがっているわけではありません。もし、企業やハローワークに作業能力について問われたら、むしろそれを確認したいから実習でもよいので働かせてください、と提案することの方が求められます。

2011年3月8日火曜日

【QAシリーズ】オープンかクローズか

【QAシリーズ】オープンかクローズか
Q:精神障害者の就労支援をしています。障害を開示するオープンでの求職活動と、開示しないクローズの求職活動とでは、どちらが有利でしょうか?
 
A:個別の状況や考え方、経験に大きく左右されるので、一概に言うことはできません。どちらがよいかについて、一緒に悩み、本人の判断を尊重することがリカバリーのプロセスにつながります。例えば表にして整理しながらぜひ本人と話し合ってください。
 思いつかない場合は、下記のような経験談を参考にすると役立つでしょう。
≪オープンのメリット≫
þ        症状を理解してもらい仕事できる
þ        具合が悪い、仕事で困った時に相談しやすい
þ        問題が起きたとき、ハローワークなどが介入できる
þ        通院、服薬がしやすい
þ        履歴の空白部分を説明できる
≪オープンのデメリット≫
þ        紹介の時点で断られることがある。
þ        周囲の人達から特別視されている気がする事がある
≪クローズのメリット≫
þ        すぐ面接を受けられる
þ        求人が多く、採用は早く決まりやすい
þ        選択肢は広いため、希望にあった求人から選べる
þ        特別扱いされないので気が楽
≪クローズのデメリット≫
þ        具合が悪くても言いづらく無理しがち
þ        支援機関やハローワークの支援は受けづらい
þ        障害を隠している分、人間関係が気まずくなる事がある
þ        履歴の空白部分を埋める必要性
þ        服薬や通院日の確保に気を使う
 

2011年3月7日月曜日

【QAシリーズ】働きたくない方への支援

【QAシリーズ】働きたくない方への支援
Q:精神障害者の支援をしています。私の職場のメンバーさんは、働きたいと言う方は少なくモチベーションが低い方ばかりですが、どうしたらよいでしょうか?
 
A:今の生活に本当に満足しているのならば、無理をすることもないでしょう。働くこと以外に何かをしたいと、今の生活を改善したいと考えているならばIPS支援は開始されるべきです。長い入所生活をしている方に「地域に戻りたいですか?」と聞いたら「だって無理でしょ。仕事はどうしますか?家は?」と聞き返され、施設の職員に「余計なことをしないで下さい」と言わんばかりに忠告された経験があります。
 今の生活に満足している方であっても、自分の可能性について見当もつかないため、現状に満足しているかもしれません。希望とは、見通しやイメージを持ち、可能性を知らないと、そもそも湧いてこないものです。わずかに希望があっても、自信がなかったり、それを実現するための方法を考えられなかったりするかもしれません。認知機能の障害があると段取りを組むのが苦手になります。やる気がないというのは本人が怠けているわけでなく、脳の機能障害に起因する症状かもしれませんし、「閉ざされた状況」が生みだした二次障害かもしれないというわけです。
 希望を持つための支援、情報提供による可能性の提示を行うとよいでしょう。そして、どんな些細な、あるいは馬鹿げているような夢や目標、希望でも真剣に取り合うような関わりが可能性を生みます。決して妄想とか幻聴と処理しないようにしましょう。長い入院生活や重たい症状を持ちながらも、地域で活き活きと生活している方の姿は、多くの希望を提供できると感じています。

NHKで働くこととリカバリーIPSハンドブックが紹介されました

NHK 統合失調症の特集番組で私どもの書籍、働くこととリカバリーIPSハンドブックが紹介されました!
Amazon.co.jp: 働くこととリカバリー―IPSハンドブック:
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たくさんのお問い合わせありがとうございます。
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こちらの出版社クリエイツかもがわのホームページからも注文いただけます。
どうぞご利用ください。
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2011年3月6日日曜日

【QAシリーズ】IPSのエビデンス

【QAシリーズ】IPSのエビデンス
Q:精神障害者の支援をしています。IPSはエビテンスがあるということですが、どのようなエビデンスですか?また、そのことが従来の、あるいは他の支援より優れているということを意味するのでしょうか?
 
A:IPSは、就労準備性を重視した支援方法に比べて就職率や就労継続性について、統計的に有意によい結果が計測されています。さらに準備性ではなく援助付き雇用(ジョブコーチ支援モデル)のなかでも、IPSの原則に従った場合は、さらによい就職率等がはじき出せると報告されています。ですから、サービスの目的と目標が就職することそのものにあるのであれば、就職率の改善をもって他の支援より優れていると言いきれます。
 IPSサービスの目的は、リカバリーの実現です。一般就労や就学などの地域統合を実現することは、その手段と理解すべきでしょう。リカバリーの促進については、今のところ統計的報告は目にしていませんが、私たちの質的研究ではIPSサービスを利用している方が就職に至らなくともリカバリーが進んだことが明らかになりました。他の支援と比較したわけではありませんが、IPSがリカバリーの追及を応援するサービスであることは確認できています。
 転院などによりIPSサービスを求めてくる人は、エビデンスや就職率に魅力を感じているようではないようです。働きたいと相談に来た方から希望の仕事を聞き出し、20分後には求人票をいくつか提示した際には、「こういう支援がほしかった。働きたいと相談しても今までは、病名や病歴などを先に尋ねられ、訓練所を紹介されてきました。」と言いました。人として当たり前の対応が受けられることで、利用者たちはIPSの魅力を感じているようです。エビデンスに魅力を感じているのは、患者より理論を重視する支援者かもしれません。

2011年3月5日土曜日

【QAシリーズ】IPSは無責任?

【QAシリーズ】IPSは無責任?
Q:精神障害者の就労支援、企業支援をしてきました。症状が重く、例えばデイケアに週に1回くらいしか来られない方でも「働きたい」と本人が言えばそんな方を会社に押し付けるIPSは無責任ではないでしょうか?会社をリハビリの場として乱用していませんか?
 
A:IPSが輸入される際に、実践に理念が先行して紹介されたため、いくつかの原則が有機的な関連せずバラバラに解釈され、誤解を生んでしまった傾向があります。「働きたいと言えば支援する」「迅速な職探し」「職場内で訓練する」「失敗してもいい」「積極的に転職支援をする」というIPSの理念が単純に連結すると、無責任なように感じられるのも無理ありません。
 デイケアに週1回くらいしか来られない方が働いてみたいと言った場合、どんな支援が展開されるか、想像してみましょう。
 週に一度の外出がままならない方であっても働きたいと言えば、IPSの支援は開始されます。どのように働きたいかを尋ね、求職活動はスタートするでしょう。本人が働けるだろうと判断すれば、ハローワークへ行くかもしれません。IPSは魔法ではないので、そんな状態でもすぐに雇用してくれる企業を見つけられないかもしれません。厳しい現状を一緒に体験しながら、可能性を探り続けます。週に1度しか外出できない状況でも働く方法、週に1度だからこそ向いている仕事、あるいはさらに体調を整える方法を本人と試行錯誤します。
 功を奏して、仕事が見つかるかもしれません。仕事が見つかった後でも色々な苦労があるでしょうが、デイケアではできない多くの体験もあるでしょう。仕事を甘く見ていたと後悔するかもしれません。ポジティブな後悔の仕方をサポートしながら、挫折ではなく前向きな転職に至るかもしれません。疾患の有無にかかわらず、若者が色々なアルバイトや職を経験しながら成長していくのと同じです。
 従来の支援者は、「働くなんて無理だからゆっくりしていなさい」「別のことを考えましょう」とか、ひどい場合には「妄想がひどくなりましたね」と処理するような事例であっても、このような支援をIPSは実践します。そして、予想以上のリカバリーが生まれるのを見届けてきました。黒人解放運動に端を発するエンパワメントの理念のように、精神障害者は障害があるために働けないわけではなく、支援者がそう認識することで彼らが働き、社会で生活する可能性が奪われてきてしまったことを、IPSは気づいています。
会社や社会、そして支援者がこの思い込みというスティグマから解放されることの意義をIPSは指摘しています。

2011年3月4日金曜日

【QAシリーズ】訓練を希望する利用者

【QAシリーズ】訓練を希望する利用者
Q:精神障害者の就労支援をしています。本人が働く自信がないため授産活動などで働く練習をしたいと希望し、IPSの考え方になじまない場合はどうしたらよいですか?
 
A:結論から言えば、支援のあり方は利用者が決めるべきでしょう。
働くための訓練という就労準備性を高める支援にエネルギーを注ぐのではなく、就職した職場の個性に合わせて働けるよう支援することにより就職率が格段と高くなったジョブコーチ支援の発想をIPSでは大切にします。この発想はPlace then Trainと呼びます。
 この手法の上に、医療サービスとの統合、そしてサービスや求職活動の在り方は本人が選択したものに従うという方針を採用したところ、実際に就職率が向上しました。これがIPSです。
 いくつかあるIPSの原則の中でも、もっとも基本となる考え方は、サービスの在り方は本人が決めることに価値があるということです。この原則は、サービスの利用に除外基準なし、求職活動や障害の開示は本人の好みに基づく、職探しは本人の個人的な好みが大切、迅速な求職活動をすべきという下位原則を生みだしました。
 その人に必要なサービスは、その人が一番知っています。たとえ就職が少し遅れても、本人にとって本当に必要な経験がどこで得られるかは、直観も含めて本人が知っているものです。Qのような場合、Place then Trainの発想を分かりやすく紹介したうえで、本人の希望、選択に従うべきでしょう。
 支援者の想像を超えた展開やリカバリーが見られるかもしれません。私たちは、そのような経験をたくさんしてきました。

第1回IPS全国研修会「それでも未来をあきらめない。」のお知らせ

●【緊急】3月12日(土)IPS全国研修会 リカバリーカフェ 東京は中止になりました。 
3/12(土)に予定していたIPS全国研修会は、3/11(金)の大地震の余震の影響を考慮して主催者コンボが中止しました。


「それでも未来をあきらめない~IPSから始まる希望の可能性を信じて~」をテーマに、IPS全国研修会を開催します。
新しい就労支援のあり方について、関心のある方はぜひご参加ください。
(IPS=Individual Placement and Support 個別就労支援プログラム)

午前中にリカバリーキャラバン隊のセッション リカバリーカフェ があります。

【日時】 2011年3月12日(土) 9:30~17:00
【会場】 帝京平成大学 池袋キャンパス7階707号室
(東京都豊島区東池袋2-51-4)
【参加費】 
  事前申込 4,000円(当事者・家族・学生は2,000円)
  当日参加 5,000円(当事者・家族・学生は3,000円)
【懇親会】  3,500円
【事前申込締切日】 2月28日

【内容】
 ・事例検討
 ・ワークショップ「はじめましてIPS」
 ・日本におけるIPSの現状と可能性 など}
【定員】 100名(定員になり次第締め切ります)
【主催】 NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ)
全国IPSネットワーク
【共催】 NPO法人NECST

※申込み方法ほか、詳細はこちらをご覧ください。
http://www.comhbo.net/uploads/110312_ips_brochure.pdf

2011年3月3日木曜日

【QAシリーズ】定着支援のアイデア

【QAシリーズ】
Q:精神障害者の就労支援をしています。働き始めた方の定着支援として、どんなことをしていいのか分かりません。どうしたらよいですか?
 
A:定着支援に限らずどんな支援が必要か分からなくなった場合は、本人にたずねてみることがとても役に立ちます。これは本人が、自分の一番の専門家だという認識に基づくものです。相談したい内容が混乱している方であれば、「さて、この1時間でどんなことが話し合えたらうまくいくと思いますか?」と尋ねるとよいでしょう。
 同様に定着支援としてどんなことをしたらよいか尋ねてみるとよいかもしれません。私たちは少し質問の仕方を工夫して、「もう働き始めて1ヶ月ですね。なかなか続かない方も多いものです。こんなに続いたのはなぜですか?働くためのコツを教えてください」と聞いてみます。すると色々な答えが返ってきます。自分で努力していること、そして会社や家族から受けているサポート。足りない点も出てきます。定着支援はこれに従い、行っていけばよいはずです。
 まず、働くコツとして上げられた状況が失われないようなサポートです。同僚や上司との関係がよければ、異動等で変更がないように調整する。仕事量が適量であれば、それをキープする。休憩場所があって安心するならば、休憩場所がなくならないように確認する。次に足りない点へのサポートも行うべきでしょう。もう少し仕事量がほしいという方もいます。
 本人が職場等で調整できるようにサポートすることを原則としながらも、それが難しそうであれば目の前で実際に交渉するのを見せてお手本となりつつ、職場との調整を進めるのがよいでしょう。

2011年3月2日水曜日

【QAシリーズ】発症前の資格は役立つか?

【QAシリーズ】

Q:精神障害者の就労支援をしています。発症前の元気な頃に取得した資格や職歴は、就職活動でのアピールに使用してもよいものなのでしょうか?


A:もちろんよいでしょう。障害を持つ前に取得した資格取得時の技能を、現在も同等に持ち合わせていると説明することとは異なります。現在の様子について、なるべく具体的に紹介できるとよいでしょう。

資格取得や職歴は、本人が望むのであれば、資格取得のプロセスで経た経験も含めて大きな財産となります。その資格や仕事がどんなものかを知っているというだけでも、仕事をするうえで有利な条件となるでしょう。

本人にとってもその過去が大切な財産であること、支援者もそう考えていることを伝えることは大きな意義を持つと考えられます。病気によって多くを失ったと考えがちな状況で、過去の職歴や取得した資格がこれからもれっきとした財産となると支援者が考えることは、疾患経験さえも財産となると考えるきっかけとなるかもしれません。

実際に発症前に取得した資格やスキルをもとに、就職している方がたくさんいます。確かに以前と同じようにできないこともあるかもしれません。だからこそ、少しでも経験があり、体で覚えているような仕事につくことが向いていると考えるべきでしょう。

2011年3月1日火曜日

【QAシリーズ】 自信のなさを強みへ

【QAシリーズ】
Q:精神障害の当事者です。以前のように働ける自信がないのですが、それを就職面接で言ったら落とされるに決まっています。どうしたらよいでしょうか?
 
A:さぞかし不安でしょうが、落とされると決めつけるには早すぎると思います。
 自信がないことだけを伝えれば採用は難しくなるかもしれませんが、以前のように働けないことを自覚しているということは、信頼を生めるかもしれません。また働く作業能力は低下しているかもしれませんが、疾患経験から得たものがあることもセールスポイントになりそうです。
 次の文章は、似たような方が就職面接に挑むために用意した自己紹介文です。参考にしてください。
『私は結婚式場でのウェイターの経験があります。接客等の仕事は好きですが、正直、障害のために臨機応変に対応する自信がありません。先輩やジョブコーチの助けをもらいながら、一つ一つ仕事をこなして、成長していきたいと思っています。この病気になり苦しい経験もしました。でもこの困難を乗り越えた経験はこれからの自分をきっと支えてくれると思っています。貴社での仕事を通してチャレンジして、ささやかでも豊かな生活を送っていきたいと考えています。』