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https://www.facebook.com/recoverycaravanTai

福祉新聞でリカバリーキャラバン隊の冊子「精神疾患を持つ方が働くための合理的配慮の会話帳でっかい輪」を取り上げていただきました。

多くの皆様のおかげでいい冊子になりました。心より感謝いたします。

精神障害者が働くために必要な合理的配慮とは

http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/10061

キャラバン隊がNHKハートネットTVブログの取材を受けています

仕事とともに、このキャラバン隊の活動が大きな生きがいとなっていると紹介されています。

http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/3400/223531.html

2011年4月30日土曜日

【リカバリーの物語25】リカバリーのプロセスについて

【リカバリーの物語25】
■リカバリーのプロセスについて
ペンネーム:アヒルの兄貴さんの経験談に基づきリカバリーのプロセスを分解し、解説を加えます。
ただし、リカバリーのプロセスは人それぞれであり、同じ経過をたどる人はいません。他人のリカバリーのプロセスと同じものを作り出そうとすればするほど、自分らしさは失われリカバリーから遠ざかるかもしれません。ましてや支援者や家族が、他人のリカバリーのプロセスをあてはめて強要することがあってはいけません。しかし、本人も説明しているように大いに参考になるどころか、リカバリーのプロセスには他人のリカバリーを知ることが必要だとも説明しています。

彼によればリカバリーとは「劇的な変化」であり、当事者の生活の質は一変するそうです。

①周囲が本人の異変、病気に気付く。
リカバリーのステップは、実は周囲による気づきから始まる、と説明していました。これは本人の変化を重視するリカバリー論と異質ですが、斬新な指摘と言えるでしょう。
②病気を本人が理解する。
本人が自分の病気を知り、理解すること。受け入れることと言ってもよいそうです。病気や障害を治したり、乗り越えたりすることではなく、「ああ、これは病気なんだな」と知る。これも一つのリカバリーのステップだとのことでした。
③薬を決める。
薬を主治医と一緒に選び、決めること。本人だけでは決められませんが、薬を決定することもリカバリーのプロセスなのだと言います。
④支援者・親友を得る。
ジョブコーチやIPS支援を受ける、という表現を本人は使いました。二人三脚で考え、行動してくれる支援者がリカバリーのプロセスには含まれるとのことです。これは、職種としての支援者に限ったことではなく、ともに信頼し成長し合える人間関係が必要だということを表現しているようです。
⑤ピア仲間を得る。
リカバリーキャラバン隊に入る、という表現を本人は使いました。一人ではなく、また病気のことも隠さず理解し合える仲間を作ることが必要だとのことです。
⑥他人のリカバリーを知る。
ピア仲間と出会うだけでなく、お互いのリカバリーを知ることが、リカバリーのプロセスに必要なようです。具体的な生活や気持ちの変化などを話し合ったり、文字などで読んで知ることが大切だと説明しています。
⑦社会に出る。
病院と家の往復だけでなく、一市民として社会に出ることが必要だと言っています。働くこと、学ぶこと、ボランティア活動をすること、何でもよいようですが、社会の中に出て社会人としての時間と経験を持つことが欠かせないとのことです。
⑧悩む。
ここで言う悩みとは、病気や薬に関する悩みではありません。社会人として、人とのコミュニケーションや将来の夢、目標に関して悩む事が大切とのことです。病人として悩んだり生活するのではなく、社会人として生活していれば当然出てくる悩みにぶつかり、それを経験することがリカバリーのプロセスには必要だとのことでした。

2011年4月29日金曜日

【リカバリーの物語24】人生に花を咲かせる

【リカバリーの物語24】
人生に花を咲かせる
作家になることを希望するペンネーム:P.6000さんは、リカバリーを次のように描写します。

リカバリーとは、うまれ持った性格や病気を経て到達する、「自分ならこれができる」という人生。誰にも真似できない人生です。教科書や辞書のみで説明し兼ねます。独りでは、病気とともに生きながら、リカバリーを実現できません。夢中になれる目的・目標がリカバリーには必要であり、本人の価値観を抑圧しようとする動きにめげないことが必要です。薬を処方するだけの医者の言うとおりにしていたら自分の人生に花は咲きません。枯れる一方です。自分と支援者で咲かせるのです。いつ治るかも分からないのに「完全に治ってから」と話す医師の判断は遅いのです。病気しながらでも、支援者と歩んでリカバリーするのが先決だと感じています。

2011年4月28日木曜日

【リカバリーの物語23】私のリカバリーの旅

【リカバリーの物語23】
私のリカバリーの旅

精神障害の当事者にとってリカバリーとは自分の生活の劇的変化、それによるものの見方の変化である。出口の見えない精神障害というトンネルの中で、もがき、挫折し、絶望している本人にとって、リカバリーという体験はどのようなものであろうか?リカバリーはある日突然起こるのであろうか?リカバリーしたらもう問題はそれで良いのだろうか?
精神疾患から立ち直るというのとも違うし、あくまでも個人的な体験なのでそれは道なき道をひとりでさまよい苦しみも味わう。体調の良し悪し、症状のあるなし、服薬の煩わしさ、その他精神障害の当事者であることは、毎日が生きづらく、日常のちょっとしたことや人間関係が煩わしくなってくる。専門医は我々が安定していれば、それでよしとするきらいがないわけではない。
リカバリーとは、こういう精神障害特有の煩わしさは、それはさておいて、自分の夢をもったり目標に向かって生き甲斐を感じたり、人間関係を豊にするといった人生や社会に対してより積極的な態度を病人が持つということである。
こうした考えに対しては、専門医は疑問を持つ人もいるだろう。幻聴や妄想に取りつかれていて、自分の身の回りのことも満足にできないのに何が人生の生きがいだと。そして精神保健福祉サービスからの批判も聞こえる。やれサービス提供者の荷が重くなるとかリカバリーする人はほとんどいないとか専門医の役割を軽んじているとか。だが個人の主体的な社会性を考えるとこれからのサービスにはリカバリーの持つ力強さ、リカバリーした人の強力な体験、エンパワメントを無視できず、専門医もこうした社会運動をないがしろにすることはできないであろう。
プロカバリーもそうである。この言葉の提唱者のスタンスは良いことに「いつでもよい、どこからでも良いから一歩踏み出す」という立場である。そしてその土台に希望を持つことを上げ、希望を持つということは、物事の様々な理由のことで物事は何とかなる、というスタンスである。誰でも失望すればお先真っ暗になる。だから、これからの精神保健福祉サービスは重要な資源として希望を患者に与えることが重要になるのではないかと思う。

サム ウィーカー ジュニア

2011年4月27日水曜日

【リカバリーの物語22】第4章 リカバリーの定義

【リカバリーの物語22】
第四章 リカバリーの定義

リカバリーの定義は色々ありますが、ここでは当事者であり研究者であるペンネーム:サム・ウォーカー・ジュニアさんによる解説をご紹介します。サムさんは有名私立大理工学部を卒業後、アメリカ在住経験もあります。発症後、入院生活などを経て、現在では得意の翻訳に携わる一方、自らの疾患経験やサービス利用者としての立場から、リカバリーやプロカバリーの概念の研究にあたられており、その鋭い文章、考察には定評があります。

2011年4月26日火曜日

【リカバリーの物語21】リカバリーについて言われていること

【リカバリーの物語21】
■リカバリーについて言われていること
リカバリーの定義は一つに絞れませんが、次のようなことがよく言われます。

・リカバリーは専門医の介入なくして起こりうる
・リカバリーにはそれを信じ、リカバリーする人の味方に立ってくれる人が必要
・リカバリーは精神症状の原因について論理的に説明するものではない
・リカバリーは症状の回数や持続期間を変えうる
・リカバリーは直線的ではない
・リカバリーは小さなステップを何回も踏んで起こる
・リカバリーは症状が全くなくなることではない
・リカバリーは「病気illness」ではなく「元気wellness」に重点を置いている
・リカバリーは当事者の選択に焦点を当てる

2011年4月25日月曜日

【リカバリーの物語20】リカバリーを支える支援

【リカバリーの物語20】
■リカバリーを支える支援
リカバリーを支える支援とは、次のようなものだと言われています。逆に言えば、次のような支援の結果に得られるものが、リカバリーと考えることができます。

・希望を伝達し続けている
・共感、理解、ユニークな人として互いを認め合う関係
・リカバリーを信じている、期待している。
・目的、成長、夢、願望、目標を目指している
・体調等の自己管理が大切にされている
・地域生活・活動につながろうとしている
・失敗から学ぶことを恐れない
・サービスの決定は本人がしている
・ピアサポート、相互の助け合いを励まし、評価している
・危機を予測し、体調悪化時の対策を持っている

2011年4月24日日曜日

【リカバリーの物語19】リカバリーではないこと

【リカバリーの物語19】
■リカバリーではないこと
リカバリーとは以下を示す言葉ではないことは、確実なようです。

・精神疾患症状がないということ
・精神保健サービスを利用していないということ
・薬物療法が必要なくなるということ
・完全に自立するということ

2011年4月23日土曜日

【リカバリーの物語18】リカバリーの歴史

【リカバリーの物語18】
■リカバリーの歴史
現在では豊かなイメージを含んだリカバリーRecoveryという単語ですが、はじめは「回復」つまり病気が終わることとして使用されてきました。そして薬物中毒のプログラムで、現在のようなリカバリー概念が生まれ、評価を得てきたそうです。これが1980年代後半から、当事者・サバイバー運動、草の根運動、自助グループの主導で米国内で発展したそうです。
簡単に言うと、個人のリカバリーに関する語りや証言の蓄積がリカバリーというアプローチを可能としてきたと考えるのがよいでしょう。つまり、精神疾患を持ちながらも私は充実した人生を過ごしているという報告について、「そんな主観的で個人的な感想は意味がない」とか「そんなのは嘘だ」と軽視されていましたが、それが積み重なることにより、リカバリーを社会で取り扱うべき現象に値するとみなが考えるようになったのです。人の人生の質に客観的なものさしはない、本人の感じ方が全てだ、と主観的な表現こそが社会現象を形づくると考えられるようになったのです。

リカバリーについて一つの定義を採用することは、リカバリーの無限の可能性を奪うために、できないと考えられています。そこで様々な定義がありますが、事者による定義と、医師による定義が異なる傾向があるようです。医師は、症状・機能の改善、治療の役割で重視した定義を採用したがりますが、当事者は、ピアサポート、自己実現、現実の個人の体験を重視した定義を採用する傾向があるそうです。

定義することから逃れようとする「リカバリー」ですが、そのイメージを伝えるためにいくつかヒントを提供します。この冊子全体を通してリカバリーのイメージをふくらませ、自分の言葉で定義したり描写してみることが、自分のリカバリーにつながるでしょう。

2011年4月22日金曜日

【リカバリーの物語17】エンパワメントのルーツ④エンパワメントを大切にした援助とは

【リカバリーの物語17】
④エンパワメントを大切にした援助とは
エンパワメントは、どんな立場にあっても学び挑戦する環境があれば人は活躍できることを示しています。
活躍するための力や可能性は、当の本人の中に必ずあります。しかし、それは「弱い立場」にあることや疾患により隠れてしまっていることがあります。
援助はこの可能性や力を与えることではなく、隠れてしまっている覆いを本人と一緒に払って、本来の可能性を活かすチャンスを作ることです。
このことから、次のように言われています。

援助の仕方五原則
・本人による問題をとらえ方を大切にする
・本人が現に持っている長所や可能性を探し、大切にする
・知らず知らずのうちに弱い立場にあることを本人が気付く機会を設ける
・本人が望んだスキルを学べるような場を設ける
・本人が「弱い立場」によりチャンスが減っている場合は、交渉する
そして、一番上手に援助できるのは、主治医でも家族でもワーカーでもなく、自分自身なのです。

2011年4月21日木曜日

【リカバリーの物語16】エンパワメントのルーツ③エンパワメントの誕生

【リカバリーの物語16】エンパワメントのルーツ③エンパワメントの誕生
ただでさえ弱い立場にある人たちの可能性は、社会の勝手な思い込みにより、限定され奪われてしまっていることに気付きました。援助は、偏見と差別によって本来の可能性が失われている状態を減らすことであると理解されるようになりました。つまり偏、見と差別を減らす、偏見と差別があっても可能性が失われないようにすることにしようということになりました。これを当事者と一緒に行う一連の活動とプロセスをエンパワメントと呼びます。
しかし、(お節介型の)エンパワメントをすればするほど、つまり援助者が当事者が力を増やせるように意図的に問題を解決し働きかければ働きかけるほどエンパワメントから遠ざかること、つまり当事者は自ら問題を解決していく力を失っていくことが研究でわかりました。これをエンパワメントのパラドックス(矛盾)と言います。

2011年4月20日水曜日

【リカバリーの物語15】エンパワメントのルーツ②今までの考えは間違っていた

【リカバリーの物語15】エンパワメントのルーツ②今までの考えは間違っていた
②今までの考えは間違っていた
このことから今までの考えは間違っていたことに気づきました。

今までの考え:
社会的に価値のある役割を果たしていない
  ↓
集団や個人は社会から否定的な評価が与えられる
という順番でしたが、実際の世の中は

新しい考え:
集団や個人は、社会から否定的な評価が与えられる
  ↓
社会的に価値のある役割を果たしたくてもできない
だということに気づきました。

たとえば、黒人差別の場合は
今までの考え:
黒人は社会で活躍していない

黒人はバスに乗るべきでない

新しい考え:
黒人だから安心してバスにも乗れない社会

黒人は活躍したくても、できない

たとえば精神障害者が働く場合は
今までの考え:
精神障害者は働けない

精神障害者が働く場や機会はいらない

新しい考え:
精神障害者が働く場や機会がない

精神障害者は働けない

2011年4月19日火曜日

【リカバリーの物語14】第三章リカバリーの歴史 エンパワメントのルーツ①黒人が差別されていたときのこと

【リカバリーの物語14】
第三章 リカバリーの歴史
 
リカバリーを理解するために、エンパワメントという理念が生まれた歴史から紹介します。

■エンパワメントのルーツ

①黒人が差別されていたときのこと
1955年「黒人女性が市営バスの座席を白人に譲らなかった」ために逮捕されました。非暴力による抵抗「バスボイコット運動」がマーチン・ルーサー・キング牧師により行われ、黒人解放運動につながります。フェミニズム運動や同性愛者解放運動なども同時期に起こりました。これら少数派(社会的弱者)に共通していたのは「社会的な差別や抑圧によって、つまりスティグマを押された集団に属しているという理由で、あるいは経験してきた差別的待遇によって、自分の力を発揮できない。つまり個人的あるいは集団的な目標を達成する際に、資源を獲得して活用することができない」という構造でした。

2011年4月18日月曜日

【リカバリーの物語13】うつ病とは

【リカバリーの物語13】
■うつ病とは
岡本さやか
うつ病は誰でもかかりうる病気です。
朝から気分が落ち込み何もしたくない、誰とも話したくない何事も悪い方向に考える、毎日よく眠れない認知機能の低下食欲の低下、手足のしびれどこの病院で検査してもどこにも異常がなく全く症状も改善せずますます気分が落ち込んでしまったりします。
またストレスからうつ病になりやすい人もいます。同じストレスを受けてもうつ病にならない人もいます。うつ病になりやすい人はもともとの性格と関係していることがあります。
真面目で几帳面で完璧主義で責任感の強い人は確かに周囲からは、頼りになり社会的にも信頼のおける人と受け取られますが、その反面ストレスをためやすく心身に無理をかけやすいためうつにおちいりやすいというリスクを持っています。女性の場合は産後や更年期など女性ホルモンの変化によって起きるうつ病もあります。
うつ病の治療で大切な事は薬をきちんと服薬し、休養と睡眠を十分にとることです。
うつ病はけしてなまけ者ではありません。神経が疲れているため毎日活動的に過ごせなくなっているのです。なまけていて体が動かないのではない事を、ご理解下さい。
私は体質的に薬が合いづらいため苦労をしています。二十五歳の時に発病してもう十年以上この病気と、付き合っています。
私の主な症状としては一日中眠い誰とも話したくない、食欲がない認知機能の低下により料理の献立が思い付かない、料理の手順がわからないなどがあります。料理の献立が思い付かない時には、しかたがないので適当に目に止まった物を買い、後で献立を考えます。料理の手順がわからない時には調子が良い時の倍の、時間をとって料理をしています。
本当に調子が悪い時には家事は主人に任せていますがそうすると、普段の倍食費がかかってしまいます。
安くて美味しい料理や手のこんだ料理が、食卓に上ることもなくなってしまいます。その日に何が食卓に上ったかで私の体調が一発で、わかります。料理は私の体調管理のバロメーターです。

2011年4月17日日曜日

【リカバリーの物語12】自我の障害について

【リカバリーの物語12】
■自我の障害について
ペンネーム:サム・ウォーカー・ジュニア
本物の自分を思い出すことは容易ではありません。特に精神疾患にかかっている私達は、ある意味で人にとって一番大切な自我の意識が普通の人よりも希薄で脆弱です。そのため、自分自身の考えが自分でまとめられず、周りの考えに左右され易いのです。この考え方の病は、自分の気持ちとは別個に動いていくことがあります。今こうしようと思っているのにそのことがなかなかできない。今こう思っているのにそれとは全く関係ない考えが頭をよぎる。空のかなたから大きな歌声が聞こえてくる。こういうことは薬物でしか治しようがありません。脳内物質の代謝異常なのです。ですが、夢とか希望というあふれる思いはこういった精神状態と全く違うものであると私は考えます。

このように統合失調症の症状(シュナイダーの一級症状)の原因としてドーパミン説、血流の異常説、皮膚の汚れ等諸説が説明されています。それでは我々の自我意識とか夜見る夢、将来の夢、あふれる希望などはどこからくるのでしょうか。一説に統合失調症の原因として(うつも同様な説なのですが)脳内の海馬というところの傷だという説があります。しかし、明日に向かう希望の力やリカバリーの力はこのようなミクロの説明では尽くされません。このストレングスは体全体から起こるもので、それこそ幻聴や妄想も吹き飛ぶ力です。人間をとりまく自然は不思議な力を我々に与えるということがはっきりわかりました。

2011年4月16日土曜日

【リカバリーの物語11】第二章 精神疾患について 統合失調症とは

【リカバリーの物語11】
第二章 精神疾患について

ここでは、精神疾患のある当事者から、その疾患について解説してもらいます。経験をふまえての紹介になりますから、教科書とは少し雰囲気が違うかもしれません。それを味わっていただくのがよいでしょう。

■統合失調症とは
中村孝
統合失調症とは誰にもなり得る病気です。遺伝ではありません。百人に一人は発症する病気ですが、九十%以上回復する病気です。
統合失調症の症状は幻聴、幻覚、妄想が出現する病気です。具体的には私の場合には、私のことを誰かが話しているという幻聴、なぜ理由もないのに誰かが私のあとばかりついてくるという追跡妄想、私は仕事ができるので所長賞がもらえるという誇大妄想、私は多くの女性から好かれているという恋愛妄想、私は一生懸命仕事をしているのになぜ邪魔をするという被害妄想、あいつは私の悪口ばかり言うのでぶん殴ってやるという加害妄想がでてしまいました。
私の場合、三回入退院を繰り返しました。退院後はディケアを経て作業所で働きました。三年半働いたら職員から「もう一般の企業で働けるのではないか?」と言われ、ハローワークに病気のことをオープンで行きました。なかなかみつからなかったのですが、病気のことをオープンで働いている人もいるので肝に銘じて、諦めずに根気よく行き、今の会社を紹介していただき、平成十六年二月より働いています。仕事は老人ホームでの洗濯と清掃をしています。
私は前の会社では、精神障害があることを隠して働いていたのですが、「なぜ定期的に休みをとるのだ?」とか「何の薬を服用しているのだ?」などと言われ、それが苦痛になり一年間しか働けませんでした。今は薬は一日一回一錠しか服用していないので、副作用はありません。薬を減らすことも大切です。
会社から配慮してもらっていることは、通院の時には、上司は少し遅れても良いと言ってくれるので、無理のないよう仕事ができています。入社したての頃は勤務日数は週三日にしてもらいましたが、今では週6日働いています。仕事を覚えるのも時間がかかりましたが、何回も聞いて覚えました。
精神障害者を雇用する場合は、自分の世界に入ってしまうことが多いので気分転換の意味も含めて、よく「声かけ」をしていただきたいと思います。薬を服用しているので副作用のこともよく理解してほしいです。例えば喉が乾きやすいのでジュースの自動販売機が付近にあったり、疲れやすいので休憩を多くしていただき、休憩室にベットがあれば少し横になったり畳の部屋で横にならせていただきたいと思います。仕事も遅いのですが長い目でみていただき、段々と早くできるようになります。なかなか仕事が覚えられないこともありますが、何回でもわかるまで聞いてほしいと言っていただければと思います。睡眠薬を服用している方は出動時間を少し遅らせていいただき、通院の時は休ませていただくか、少し遅れることも配慮ください。幻聴や妄想が出現することもあると思いますが、理解いただき大目にみていただきたいと思います。初めは勤務時間は短時間にしていただきたいと思います。言葉使いも気を付けて、精神障害者が入社してもバカがきたと思わないでください。私は今の会社に入社して七年目になるのですが、入社した当初は何もわからなかったのですが、社員の皆さんによく理解していただいて、今は健常者以上に仕事をこなしています。

2011年4月15日金曜日

【リカバリーの物語10】やる気の3要素

【リカバリーの物語10】
■やる気の3要素
貯金、ダイエット、禁煙・・・。やらなきゃいけないと分かっていても、やれないことがあります。人が新しい行動を取るには、3つの要素がそろわないといけないようです。
①それが自分にとって大切だと思える
②それが今すぐに必要だと思える
③それをやることができると思える
「どおしても半年後に行きたい旅行。あと6ヶ月で3万円貯めたい。1ヶ月5,000円、つまり1日200円貯めればおつりが来るな。いつも買っているジュースとお菓子を我慢しよう」と考えられれば①②③がそろうので実行できるかもしれません。しかし、人から言われた目標にはこれらが欠けていることがよくあります。それをやれないのは、人として当然なようです。

2011年4月14日木曜日

【リカバリーの物語9】③診断に希望が必要だ

【リカバリーの物語9】プロカバリーの力③診断に希望が必要だ
翻訳:ペンネーム:サム・ウォーカー・ジュニア診断に希望が必要だ
慢性精神疾患を診断された人は往々にして、実行がとてつもなく難しい治療計画を手渡され、自分達に何ができるかということをほとんど頭に描けない。
終わりなく見える慢性疾患の悪循環を断つのは困難である。将来に見通しがなく、希望が感じられない状況で何ができようか?

2011年4月13日水曜日

【リカバリーの物語8】プロカバリーの力②希望のない診断

【リカバリーの物語8】プロカバリーの力②希望のない診断
翻訳:ペンネーム:サム・ウォーカー・ジュニア

希望のない診断
かつてある精神科医は私に「私は彼らに希望を与えたいのです。しかしそれは困難だ。病気の人たちは、私にはとても解決できない恐ろしい問題を抱えているのです。だから彼らが希望を感じるなど、私には到底思えないのです」と言った。しかし、個別性のない「慢性精神疾患」と診断され、薬がただお情けで処方されて、その最悪のシナリオばかりに目が向けられている限り、服薬する患者はほとんどいないだろう。

2011年4月12日火曜日

リカバリーの部屋

主催 リカバリーキャラバン隊
Yes, We’re the Recovery Caravan!

リカバリーの部屋
渥美正明は24歳のときに統合失調症を発病し、8年間の入院生活を経験しました。退院後はデイケアに参加していましたが、就労支援のポスターを見たときに、自分の人生は自分で決めることにしました。その後、清掃の仕事などについて、自分の長所を活かした充実した生活を送っています。リカバリーの部屋では、笑いあり、涙あり、ここまで元気になった体験を語ります。ぜひ、人生劇場にお越しください!

【日時】平成23年5月14日(土)
13時00分から14時30分
(12時30分~受付) 
【場所】東京都調布市市民プラザアクロス2階(最寄駅:京王線国領駅)
【対象者】興味のある方
【参加費】無料
【申し込み】 recovery_caravan@yahoo.co.jp

2011年4月9日土曜日

【リカバリーの物語7】プロカバリーの力①希望というエンジン

【リカバリーの物語7】プロカバリーの力①希望というエンジン
翻訳:ペンネーム:サム・ウォーカー・ジュニア

希望というエンジン
もし何かする時に、どうにもならないと感じていたら、たぶん何もできないだろう。希望がないなら、モチベーションを持つことはとても困難になる。希望があるならモチベーションを持つことは簡単である。この意味で希望はモチベーションの原動力である。

人間の魂に訴えない病気の治療は、どんなものでも、大きな欠陥を持つ。

2011年4月8日金曜日

【リカバリーの物語6】リカバリー仲間が自分を育てる

【リカバリーの物語6】リカバリー仲間が自分を育てる
ペンネーム:P.6000

他の人のリカバリーを知ることで、自分がどの位置にあるかが分かり、自分の可能性を知ることができます。
比べる対象がいることで、自分をものさしで計れます。進路や職種が同じ同輩がいると俄然やる気になれる。共通の話も出来る。もっと友情が芽生えると暗号めいた話も出来るかもしれない。左手をつないだ相手がライバルになり、ライバルはやがて手をつないだ同士になる。
リカバリーを知ることで、病気が決して悲観して悪い訳ではないことに気づきます。自分を捨てたら誰もが悲しむ。せっかく人として生を受けたのだから、人のため世のために生きる努力をしようという気持ちが大切です。道行く人々に一言、挨拶して声を返してくれたら「礼儀を忘れていない方もこの日本にもまだまだいるんだ!」と安心します。このようになります。
リカバリーが知られるようになれば、日本は元気になります。僕らががんばっていると評判になったら、健常者も勇気づけられます。「明日はどうしよう。休もうかな?」と路頭に迷ったら「僕らを思い出して!」と背中を押してあげられるでしょう。生き生きとしている当事者の存在の意味は大きいです。

2011年4月7日木曜日

【リカバリーの物語5】リカバリーを知り人生が変わった

【リカバリーの物語5】リカバリーを知り人生が変わった
中村孝

こんにちは。統合失調症当事者の中村と申します。私は三回入退院を繰り返しました。
退院してから私は「精神障害者なのだからもう一生働けない。貯金が無くなったら生活保護を受けよう。」と思っていました。
それからしばらくして大田区のTさんに出会いました。Tさんも精神障害者なのですが、正社員で旋盤工として立派に働いているのです。
正直いって私はとてもびっくりしました。「精神障害者でも働くことはできるのだ。」「充実した生活を送ることはできるのだ。」と思いました。Tさんは目がとても生き生きして、立派にリカバリーしているのです。
だから私もTさんのように一生懸命働き、リカバリーしようと思いました。
Tさんとの出会いは私の人生を大きく変えました。今の私があるのはTさんのおかげです。Tさんにはとても感謝しています。

2011年4月6日水曜日

【リカバリーの物語4】リカバリーを知ることは希望の光

【リカバリーの物語4】リカバリーを知ることは希望の光
岡本さやか

例えば五体不満足の乙武さん。
あの方は頭もいいですが、自分の障害や病気を個性ととらえて自分の武器として生きていますよね。でもあそこまでいくためにどれだけの努力をしたことか。
私は自分の障害を個性ととらえ自分の武器としていけばいいという事に気がつくのに、十年以上かかりました。
乙武さんや先日放送された盲目の夫婦でCDデビューをした二人の存在は私の目標です。成功すれば、差別的な目や特別視はしなくなるでしょう。
他の障害者の方にも障害を悲観した生き方はして欲しくない。希望の光となる存在でありたいです。他の障害者の方の目標にされる人になりたいと思っているんです。暗闇の中の一筋の光になりたいから。

2011年4月5日火曜日

【リカバリーの物語3】皆がリカバリーに期待すること

第1章 リカバリーを知るということ
まずはじめに、この本の趣旨を理解していただくために、精神疾患がある当事者たちの文章を紹介します。みなさん、精神疾患がありながらも、今は充実した生活を過ごしていますが、はじめからそうであったわけではないようです。
疾患や障害がありながらも、幸せに生活している人たちのことを知ったり、そういう人たちに共通するリカバリーというイメージを持つことが、その後の生活に影響する様子がうかがえます。

■皆がリカバリーに期待すること
ペンネーム:サム・ウォーカー・ジュニア

私は精神障害者の当事者です。
精神障害者にとってリカバリーは大変な経験だと思います。極めて個人的な体験で多くの挫折をともないます。
私も支援を受けて翻訳の仕事を続けていますが、ほんのわずかな希望の力が助けてくれます。それがいつか自己実現の喜びにつながります。
希望のない状態から希望のある状態になるのは大変な進歩です。今できること、どんなささいなことでも今できることに一歩でも踏み出すことが大事だと思います。
それでも困惑、無力感に襲われる時があります。私はこういう時じっと耐え、希望のわくのを待ちます。
サービス提供者のサポートもあります。これから精神保健サービスは専門医の理解のもと、この大変なリカバリーという仕事を、精神障害者一人ひとりに適したリカバリーができるようサポートしてほしいと思います。
症状をかかえながら夢をあきらめず、その実現に向かって生きるのは何とすばらしいことではないでしょうか。
専門医は「そんなことは無理だ」というかもしれません。
しかしリカバリーは、単に症状がなくなることではなく個人が社会で有意義に生き生きと生活し、生き生きと毎日を送れ、じわじわと人生に幸福感を持てれば良いと思います。
何か特定の目的を達するためばかりでなく、日頃の人間関係がスムーズにいき、生き苦しい思い、落ち込む時もこの運命を背負った人生を乗り切る。そういう気持ちになることは人間の生きていく上での人間に与えられた大切な本能です。
現在、このリカバリーを体験している人は非常に少ないと思いますが、あきらめないことです。
また、専門医の理解も大切ですが、家族や身近な人が理解するのも大切だと思います。
精神保健サービス分野でもこれはひとつの運動になっていますが、リカバリーは本来、個人の社会的なもので、精神障害者のかかえる様々な問題を社会が受け入れる必要もあると思います。
リカバリーについて、一人でも多くの方が理解してくださることを望みます。

2011年4月4日月曜日

【私のリカバリー】仕事力

【私のリカバリー】仕事力
私は32歳から約10年間のブランクを経て最近(もう3年目になりますが)病気の事をオープンにして仕事に着きました。でもそこで待っていたのは、偏見だらけの目でした。皆ことごとく、陰湿な意地悪をしてきていました。でも私は、耐えるしか選択はありませんでした。私は運悪く、障害者年金をもらえませんでしたので、病気と向き合ってきたブランクの10年間は、私にとって親のすねをかじってのどん底の人生だったからです。

どん底人生になると人間関係まで変わってきます。手の平返したように今まで(それまで)仲良かった友人達も去っていきました。お金の力は大きいと思いましたが、心まで疎んでいたのでしょうね。働いて3年目になる今でも心が疎んでいる様な感じがしますが、以前よりは心に余裕・ゆとりがでてきた様に思います。

私はこれからだと思っています。徐々に変化を肌で感じるからです。
意地悪に耐えるだけの人生だったのが、他人に思いやりを持って接してこられるようになって、初めてどん底からぬけでてこられる、そう思えてきたのです。

P.S
豚でも人の役に立ちたい、“ベイブかな”
不自由な障害者 生きるアイデアいっぱい

華子

2011年4月3日日曜日

【私のリカバリー】茶道を嗜むことは、生きること

【私のリカバリー】茶道を嗜むことは、生きること
私は茶道の免状を持っていますので、今でも時々お抹茶をたしなんでいます。
といっても、お抹茶を茶杓ですくって茶筅をたてるだけなのですが、一日の終わりにお抹茶を味わっています。

ふうっとするひと時で、生きているな~と実感できる時でもあります。

ところで私が嗜んでいるお抹茶の名前なのですが、“青山の白”と“初音”と“若き白”という物があります。教わった話なのですが、“青山の白(あおやまのしろ)”とは“青山(せいざん)”とも読めるもので
“青山(せいざん)”とは生と死を意味するものだそうです。そして“初音”とは、今の事ではないかと思うんです。今、一瞬一瞬が次々と昔に過去になっていく、そういう意味ではないかと思っています。
“若き白”とは私は赤ちゃんのことを指していると思うのです。色がついてないではないですか。

これはあくまで私の推測なのですが、こんな事を一日の終わりに考えながら、お抹茶をいただいているのです。

堀尾雅子

2011年4月2日土曜日

【私のリカバリー】お金だけではない、健康も天下の回りもの

【私のリカバリー】お金だけではない、健康も天下の回りもの
昔からよくお金は手には入らないものと言われてきましたが、努力が必ずつきものです。
努力なしにはお金は手に入らないと言われています。
私が思うには、健康も然れど努力なしには手に入らないと思っています。

確かに、20代~30代の頃には、健康は疎かになりがちで、やもすると気を遣わなくなってしまいます。
お金だけではない、健康も天下の回りものという言葉は、そんなヤング世代には、当てはまらない言葉ですが、私達40代世代には希望さえ持てる言葉だと思います。

私はヨーガを習っていて、世界的なヨーガで有名なプージャスワミジさんは、次のことを言っています。

「与えることは生きることであり、生きることは学ぶこと、学ぶことは知ること、知ることは成長すること、成長することは与えること、与えることは生きることである。これが人生の真の循環である。」

私も最後の与えることをしなければいけない時期に差し掛かっていると思うこの頃です。
それが本当の意味での生きることだと思われるからです。

堀尾雅子

2011年4月1日金曜日

【私のリカバリー】異様な体験から

異様な体験から
「おい」「なんだ」通りすがりの人の声が聞こえる。幻聴だ。「何だ、こんなの」と思っても耳から離れない。日も暮れかけて建物も長いかげを作っている。「いやだな」と思ってバイパスに入ると古い居酒屋や食事処の建物がこわれたいびつな木材に見える。思わず足元に目を落とすとひびわれたアスファルトが異様に光っている。私はこわくなってかけだしてやっと表通りに出た。人ごみをかきわけてガソリンスタンドの脇にあるベンダーにたどりついた。いきせききって120円をコイン投入口に放り入れていつものエメラルド・マウンテンのボタンを押した。ガチャッと缶が落ちた。やれやれとほっとひといき飲む。
「何だろうこれ」あたりは暗くなってきた。黒いひとの人のむれが私と関係なく動いていく。
信号の赤、青、黄の色がいやに目について、私はパチンコの台を見ているようで目が回った。「やーこーや」とつぜん大きな声がするのであたりを見回す。ただ人が黙々と歩いているだけだ。街は海のようだ。
時間を待って帰りのバスに乗って席につく。100円出そうとするがなかなかサイフからでない。用意するのに5分もかかってしまった。するととなりのおばあさんが「ぜにまみれだ」と聞こえた。「もういやだ」と思ってサイフをポケットにしまった時バスが発車した。バスは闇の中を装甲車のように進んだ。無気味な坂をのぼって焦るように走っていた。「次は3丁目です」私はバスを逃げるように降り、祈るように走って家にたどり着いた。
うらの戸を開けた母が同情をこめて「よく帰ってきたのね」と私を抱きしめてくれた。
私は小さな子のように母のぬくもりに身をゆだねた。

サム ウォーカー ジュニア